芋川玄爾;Functional Food,2;358ー365,2009
【要旨】
完成したシワ組織にはコラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカンの量が増えている。
シワ組織が完成するメカニズムには、変性エラスチン蓄積(エラストーシス)説がある。
その最初の部分に、真皮線維芽細胞がエラスチン分解酵素(エラスターゼ)を分泌し、エラスチンの弾力性低下が影響していることがわかった。
【基礎知識】
シワの発生が最も早いのは目尻で平均35歳で出現。紫外線UVBを浴びると線維芽細胞のエラスターゼが増加し、真皮弾性線維が湾曲化する。その結果、弾力性が減る。その後も、紫外線と機械的運動(笑い)が続くと、弾性力が低下しシワの原因になると考えられる。UVBはコラゲナーゼI活性も上昇させ、たるみを引き起こしている。
ショウキョウエキスが線維芽細胞由来エラスターゼを阻害する作用を持つ。
UVAでは真皮組織にコラゲナーゼIが増加し、皮膚にたるみが生じた。
難しい言葉を覚えるためには親しむことから始めましょう。
今回も、私の専門外ではありますが、アンチ・エイジングの知識をご紹介します。
第2回目の連載では、皮膚老化と活性酸素種ROSのお話をしていきます。
前回、【酸化ストレス】が皮膚を老化させると説明しました。そして、酸化ストレスを起こす原因物質が、【活性酸素種(Reactive Oxygen Species:ROS)】と言う老化を起こさせる原因の親玉だと考えてください、と説明しました。難しい言葉が並んでしまったので、拒絶反応を起こした人はいませんか? それでは、皆様が親しんでいるものから学び始めましょう。
現在、ヒトの皮膚の老化を予防する抗酸化物質・サプリメントとして期待されているものが下記の物質です。
1.水に溶けるもの
●ビタミンC(アスコルビン酸)
●グルタチオン
●リポ酸
●尿酸
2.脂肪に溶けるもの
●ビタミンE(トコフェロール類)
●コエンザイムQ10(ユビキノン)
●リポ酸
●カロテノイド(リコペン、ルテイン、βカロテン)
3.細胞の中にあるもの【抗酸化酵素系】
●スーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD):銅/マンガンSODs
●カタラーゼ
●グルタチオン
●ペルオキシダーゼ(GPx)
●グルタチオンSトランスフェラーゼ
【活性酸素種ROS】よりは、聞きなれた言葉が多かったのではないでしょうか?
【抗酸化酵素系】は、直接飲んだり食べたりすることができない小さな物質なので、巷に出回っているサプリメントとしては、まだ聞きなれないものだと思います。
しかし、アンチ・エイジングの最前線では、細胞の中にある【抗酸化酵素系】について研究が日夜されています。最新のサプリメントであると「スーパーオキシド・ジスムターゼSOD様作用食品」とか、先端医療であると「パーキンソン病の治療としてグルタチオン点滴」などが既に世に出てきています。
では、【活性酸素種ROS】と【皮膚老化】にはどのような関わりがあるのでしょうか? 皮膚を若く保つためには、紫外線を浴びないことが強調されていますよね。
それはなぜでしょうか。紫外線を浴びた皮膚では、活性酸素種ROSである1O2(一重項酸素)やO2-(スーパーオキシド)が発生します。この時に、細胞の中と外にある活性酸素種ROSを消す力が足りないと、酸化ストレスになり、皮膚が老化します。つまり、しわやシミが出来てしまいます。
しかし、皮膚の若さを保つためには、紫外線対策だけではなく、体内の活性酸素種ROSを増やさないことが重要になります。
今回の覚えて頂きたい言葉は、【抗酸化酵素系】の具体的な物質名です。
出典:炎症と免疫、日本臨牀、Dermatologic Therapy,Functional Food
Photo by epSos.de.
MSN 女ブログ
小児科医の本木です。
健康な子どもを育む小児科医としては、家族が健康・健全であってほしいと願います。そのためには、親がもっと医療情報に親しみ、健康情報を客観的に判断できる知恵を身に着ける必要があります。
しかし、医療や健康情報は専門性が高く、難しいのが現状です。そこで、堅苦しい話や真面目な話をできる限りわかりやすく、興味の湧きやすい形でご紹介していきたいと思っています。
今回は、私の専門外ではありますが、アンチエイジングについての研究をご紹介します。
見た目のアンチ・エイジングというと、どのようなことをイメージしますか? 抗加齢の世界では3つに分けていきます。体型、容貌、皮膚です。
今日は、皮膚に絞ってお話をしていきます。皮膚は、体を外敵から守る人間で最も大きな臓器です。心臓や肝臓、腎臓や脳など、体に必要な臓器はたくさんありますが、何にもまして大きいです。その大きな臓器である皮膚にも当然血液がたくさん流れますから、体の中からキレイにならないと、皮膚も若さを保てません。お肌のお手入れというと、紫外線対策と保湿が中心と思われますが、体の中をキレイにするにはどうしたらよいのでしょうか?
まず、皮膚がなぜ老化するのか考えていきましょう。
【酸化ストレス】って聞いた事はありますか? これが皮膚を老化させます。この言葉は、アンチエイジングとは切っても切れない言葉なので、ぜひ覚えてください。
酸化ストレスを起こす原因物質が、【活性酸素種(Reactive Oxygen Species: ROS)】と言うものです。ここでは、ROSを活性酸素という言葉で説明していきます。この活性酸素が老化させる悪玉だと考えてください。悪玉たちを作らないようにすれば、皮膚は若いまま保てます。
皮膚は、紫外線により活性酸素が作られます。そのため、サンスクリーンをしっかり塗り、日よけ対策をするのが一番重要になります。
次に、活性酸素を減らすサプリメントについてお話します。
アメリカで消費者が適切に商品を選択できる参考情報を専門家が集めてまとめているNATURAL MEDICINES COMPREHENSIVE DATABASEの情報を紹介します。
その中で、皮膚の老化を予防するサプリメントとして評価されているものが以下のものです。
(1)おそらく有効で、おそらく安全:AHA (α ヒドロキシ酸)
(2)有効性がありそうで、おそらく安全:βカロテン、メラトニン、ビタミンC、ビタミンE
(3)有効性がありそうで、安全そう:DHEA、短期間のピルビン酸
(Natural Medicine aging-skinより/英文)
つまり、【AHA(αヒドロキシ酸)】が現時点で唯一勧められる有効成分と言えます。では、AHAとはなんなのでしょうか?
AHAは、果物に含まれるグリコール酸・クエン酸・リンゴ酸・酒石酸・乳酸・シトラス酸などの総称で、別名【フルーツ酸】とも呼ばれている物質です。
ということは、現時点で、深く考えずに美容に良いものというと、フルーツというのが結論ですね。
出典:アンチ・エイジング医学
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